数年前からなるべくローカルな、ヨーロッパ産の糸を買うようにしています。
ウールの生産(ヒツジの飼育と毛刈り)と加工をヨーロッパで行うことで、カーボンフットプリントが少なくエコロジカルである、というのが一番のポイントなのですが、最近EU圏内で作られた糸はお得かも、ということに気づきました。ヨーロッパ経済共同体内だと、高い高い消費税はあっても(20%くらい;)、輸入関税がないので、その分ヨーロッパ外の糸よりお安めなのです。
前置きが長くなりましたが、おととしのフェロー諸島の糸Snaeldan、去年のフランスの糸Shetland(ちなみに名前がL’originaleに変更になりました、やっぱりネーミングがまずかったみたい)に続き、今年買ったのはフィンランドの糸Tukuwool。
Laine Magazineで特集されたりして、数年前から注目を集めている糸です。
フィンシープというフィンランド在来種と、主に食肉用のガタイの良い(かわいくない)テクセル種とフィンシープの交配種の羊毛を使って、糸が作られています。ウールの生産、加工ともにフィンランド。まずは中細糸のFingeringが発売され、それより少し太く、ナイロンが混紡されたSockが2016年に出ました。
フランスではLaine des Ilesというオンラインショップで入手できます(Snaeldanもここで買ったのですが、最近人気が高く、すぐに売り切れにp_p…)。
注文をして翌日には発送の連絡があり、お隣の地方だからか次の日に届きました!
紙袋を開けて、触ってみるとざらっとした感じ。
フィンシープはシェットランドやアイスランド等の北欧短尾種に属し、ウールは柔らかめ(平均24~31ミクロン)と私の参考書にはあるのですが、シェットランドのJamieson等よりザラっとしています。
テクセル種のウールがもう少し太目(平均31ミクロン)なので、より粗い感じになるのかもしれません。
まずはお写真から。
こちらはFingeringのValo色。緑っぽく見えますが、本物はもう少し黄色いです。オリーブグリーンと黄土色のようななんとも形容しがたい色。
1かせ50gで195mあり、標準ゲージは28~30目だそう。
こちらはSockのRuura色。無染色の糸です。
50gかせが160mでFingeringに比べると太目で、標準ゲージは24~26目。
Sockにはナイロンが20%入っていて、その分Fingeringよりも少し暗めになるのだそうです。
で、編んでみました。
率直な感想は、かなりワイルドでガサガサです。編んでいるうちに繊維がしっかりと絡まりあう感じで、目は揃いにくいかもです。
羊がくっつけてきた草とかも時折混じっていて、顔を近づけるとかなりの羊臭がします(個人的にはこれは気になりませんが)。
ガサガサヨーロッパ糸というとHolst GarnのSupersoftが思い浮かびますが、こちらは紡績時の油が付いているので脂っこいですね。
Tukuwoolは手触りがもっとドライです。もともと脂分の少ない糸なのかもしれません。シェットランドウールのポソポソ感に似ているかもしれません。
スワッチで細さ比べ。
左のSockは3mm(JP3号)で、Fingeringは2.5㎜(≒JP1号)で編みました。
Sock。細か~い毛が見えるでしょうか。
Fingeringアップ。かなり細いですね。
2.5㎜で26目が出ました。
ガサガサ系の糸だと、水通しをするとふんわりとすることがあるので、今回もそれに期待しました。
糸は少し膨らみ、ドライな感じも少し和らぎました。
でも基本的には素朴でザラっとしたウール糸です。
クリスマスまでに甥っ子の帽子を編むことになっているので、家族でSockのスワッチを額に当ててみました。私と夫は大丈夫でしたが、娘はガサガサするといっています。
私たち、面の皮が厚い?!
私は年とともに肌が敏感になっているので、チクチクが苦手な人の意見として聞いていただきたいのですが、額は大丈夫ですが、首回りは無理そう。セーターも重ね着が必要かなと思います。
まだ着るものは作っていませんが、素朴な糸の常として、軽くて温かいものができそうです。それに、カラーパレットが何といってもステキ。ナチュラルカラーと、ビビッドな明るい色、それにグレーの糸を染めたと思われるくすみ系な色、どれもセンスがいいなあと思います。
日本では北欧雑貨屋さんのonnelinenさんで少しお取り扱いがあるようですよ。
ちなみに帽子は3号だとゴム編みがゆるくなってしまったので、5cm編んだあたりでやり直し。1号でもう少し密に編み直していて、そろそろ減らし目に入るところです。
クリスマスには間に合いそう!