糸レビュー

ガサガサローカル糸

先日究極のローカル糸を購入しました。

私たち一家は、食べ物はなるべくローカルなもの、それが無理ならばフランス国内産のものを買うようにしています(コーヒーとかチョコレートとかは別!)。これはフランスがヨーロッパ随一の農業大国であるからこそできることなのですけれどね。
そして毛糸も最近は、なるべく近くで作られたものを使いたい、と思っています。ただしフランス産に限ると選択肢が非常に限られてしまうので、「ヨーロッパ産」ともう少し大きなくくりを自分に許すことにしています(でもアメリカの手染め糸は今後も買いますよ。ガチガチにはしない主義)。

さて、いつもお買い物をしているフランスのオンラインショップのオーナーさんが、最近Les Toisons Bretonnesというブランドの取り扱いを始めました。ブルターニュフリース*、というほどの意味ですが、私たちの地元になるブルターニュとロワール川流域地方の羊の毛から糸を作り、手編み毛糸やハンドニット、機械織りの作品を販売しています。
(*脱線しますがフリースって羊毛のことなのです。ポリエステルから開発した素材をフリースって名づけた人ってすごいなと思います^^)

糸に使われているのはこれまた、Landes de Bretagne(ランド・ドゥ・ブルターニュ)とBelle-Ile(ベリル)という、ブルターニュ在来品種の羊の毛。刈り取った羊毛を洗浄し、糸にする過程もフランス国内で行われています。
フランスのナチュラル系糸としてはDe Rerum Naturaが有名ですが、ここのメリノ羊はアルプス、つまり私たちが住んでいる北西部とは正反対にある南東部で飼育されており、ベルギーやイタリアで羊毛を洗浄し、フランスで糸を作っています。
なのでLes Toisons Bretonnesの糸は私にとってはローカル度がさらに高く、カーボンフットプリントが少ないわけです。

でもこの糸、タイトルどおりガサガサなのです!

Les Toisons Bretonnes, ORIGINE 3 FILS: Gris très clair

Holst Garnの、その名に大いにたがうSupersoftを使われたことのある方はガサガサで油っぽい手触りってわかると思いますが、糸がもう少し太いので、輪をかけたガサガサ感があります。
どのくらいガサガサかと言うと、縄編み針を使わずに編み目を交差させようとすると針から目を落としますが、その落とした目が絶対に解けないくらいなのです。だから水通しをして目を揃えるという裏ワザ?は使えません¯_¯;。

でも水通しはものすごい効果がありました。
作りたいパターンのスワッチを編んだら、ゲージが合っていたのですぐに編み始めてしまったのですが、縄編みの模様があまりにボコボコ、モコモコ、モリモリしていたので、ちょっと不安になり、スワッチを洗ってみました。

こちらは水通し前。
toisons-swatch-before
一つ一つの目がくっきりしているのがわかるかと思います。

そしてこちらは水通し後。
toisons-swatch-after
写真ではうまくお伝えできないのですが、その変身ぶりはものすごいものがありました。
バリバリな手触りがすっかり和らぎ、印象も柔らかくなりました(光線の加減だけではありません)。

もちろん、この糸にはメリノ糸のような柔らかさも、手染め糸のようなワクワクする色の変化もありません。夜テレビの前で編み物をしていると、隣にいるダンナサンに油くさいとも言われます(ラノリンではなく紡ぐ時の油だと思います)。
でもローカルでオーガニックだし、撚りが柔らかくて重さに対して糸長があり(ゲージ18目の並太糸で、100gが260m)、温かいのです。私が買ったOrigineは無染色のバージョンですが、カラーバージョンはOeko Texの基準に合致する染料を使っています。
合太(2 fils)、並太(3 fils)、太め並太(4 fils)と太さも3種類あり、カラーも少しずつ増えているので、アウター用の素朴な糸が欲しいときにはまた使いたいと思います!
あ、一応こちらで取り扱っています^^。

ローカルヤーンつながりで、ひつじだまのキャシーさんが北海道の羊の毛から純日本製ローカルヤーンを作りたいと、日本でwoolenに紡いでくれる工場を探していました(工場が見つからなくって、アメリカのご実家の地方で糸にしてもらったそうです)。ご存知の方がいたらキャシーさんに連絡してください!

ところでスワッチをご覧になって、何を編んでいるかわかったでしょうか?今年編んだことのある方はきっとわかりますね^^。
そう、michiyoさんのタイトアランプルオーバーです!
実は(楽しくって)もうかなり進んでいるのですが、今度途中経過を報告しますね~。